「おい!コラ!お前の弁明なんぞ、もうどうでもいいんじゃ!そんな事より早よ黒田と連絡つけいや!おう!もう一度は言わんぞ!」
「ふっ、ふぁい!わ、わかりました!」
金沢はポケットから携帯電話を取り出すと、あわててそれを開いた。
だが、何度もボタンを押すかどうかを迷っている様子の金沢に近藤がドスの聞いた声で耳元で小さくささやく。
「今、死にたいんか!コラ!」
「わ、わかりました。すぐに!」
震える手で、金沢はボタンを押した。
六
(トゥルル・・・トゥルル・・・トゥルル・・・カチャ!)
「おう!黒田やけど!何や、金沢、どうかしたんか?えっ?もしもし?何やよう聞こえんがな!ん?もっと、ハッキリでかい声でしゃべらんかい!おっ?今?俺か?レ−スの集金で魚辰(うおたつ)の大将の所へ向かっている所やが、それがどうした?そんな事よりお前こそ今、どこにおるんや?さっきから何度か呼び出ししても全然つながらんし、ちと、たるんどるんか!え?O組の事務所に来てる?何でや?ん?ちょっとよう聞きとれんが・・・。コラ!もっとシャキッとしゃべらんかい!何度同じ事を言わせるんじゃ!このボケ!」
あまりに要領の得ない金沢からの電話に黒田も(何かあったな・・。)
とっさにそう感じた。
「もしもし、あんたが黒田さんですか?」
「ん?誰じゃ?お前は!金沢は?」
「金沢?ん?ここに転がっているガキん事か?」
「転がってるって、おいコラ!テメェうちの金沢に何したんや!」
「じゃかぁしい!コラ!さっきからテメェだのおいコラだの!よう黒田よ!ワシはO組の近藤言うもんじゃ!で、ここはそのO組の事務所や!お前んとこの金沢言うこのガキが、取り返しがつかん間違いをしでかしたんで、今、ここでワシらにクンロク入れられていることじゃ!で、さっきお前んとこの事務所に確認を取ったら、まだこのガキ正式組員じゃない言う事で、そいで聞いたら黒田!お前がこいつの兄ィいう事みたいじゃないの!だから、お前にこうして電話しとんのよ。ああ、わかったんかい!」
「間違い?ん?何やそれ?ようわかる様に説明せんかい!」
「説明?コラ!黒田!お前、何年ヤクザで飯 食うとんじゃい!眠たい事ぬかしとるんやないぞ!おう!いちいち電話だけで済ますこんやったら最初からこないな事になってないと違うんかい!おお?」
「どうせい言うんじゃ!ああ?」
「そやな、まずこんガキ引き取りに来いや!話はそん時じゃ!今から2時間後、ウチの事務所まで来いや!何人で来ようがかまわんが、ワシら待たされるんが嫌でな!遅れん様にな!」
「コラ!近藤言うたな!あんま人をなめたらいかんぞ!おう!事がハッキリせん内にぞろぞろ若い者連れていけるか!お前らこそワシん着くまでに金沢に手えあげる事せんどけや!そやないとワシもA組の黒田や!その場で弾けるぞ!」
「わかった!能がきはいいから、とにかく遅れずに来いや!」
(ガチャ!)
近藤は、電話を切ると携帯電話を金沢に向かってポンとほおった。

